警察側が菅家さんちを訪ねたんじゃないの?!来させたの?
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足利市で女児が殺害された「足利事件」は、無期懲役の判決を受けて服役していた菅家さんが無罪と判り、刑も執行停止になりました。
この冤罪により失われたものはもはや取り戻せません。それは菅家さんの人生であり、真犯人と真相の究明であり、何より真犯人を取り逃がしたことによる被害者の無念を晴らす機会です。
取り戻せないことについては謝罪を尽くし、今後同様のことが起こらないようにすることが、せめてもの償いだと思うのですが、警察も、原因となった自らの体質にメスを入れたがらないようです。
そして今回、更に痛いのが報道側の姿勢です。
おそらくは今回の冤罪が、警察捜査の構造的な問題であることを訴えているマスコミですが、捏造さえ疑われるその捜査を支持したのは当時のマスコミも一緒だったのではないですか?
足利事件が起こったのは20年近く前の1990年。菅家さんの逮捕は翌年1991年の12月です。
当時流行りの写真週刊誌(今は『Flash』しか残っていない)か、普通の週刊誌か忘れましたが、菅家さんがいかにも犯人であるかのように書き立てていた記事を、当時学生だった私はよく覚えています。
その頃、東京近郊では「幼女連続殺人事件」の容疑者・宮崎勤(死刑執行済み)が逮捕されたばかりで、未解決の「足利事件」(プラス真実ちゃん以外の未解決の女児殺害事件も)は「第2の宮崎勤事件」と騒がれていました。(宮崎勤の余罪と疑ったワイドショーもありました。)
そこへ菅家さんの逮捕。マスコミは宮崎勤にしたのと同じ調子で菅家さんのプライバシーにまで入り込み、いかにも幼女虐待犯人らしい菅家さん像を作り上げていきました。
例えば…
幼稚園バスの運転手で(これは事実でしたが)大人には無表情だが子供相手には一変、破顔して対応するところが怪しいから辞めさせた(幼稚園側談とのこと)、とか。
大人の女性とうまく接することができず、結婚したものの性生活が成立せず離婚に至った(元舅談とのこと)、とか。
多くの幼女もののアダルトビデオや実物大の人形型の性玩具が押収された(写真週刊誌描写)、とか。
…と、ここに記憶を連ねることで更に菅家さんへの暴力になりそうな記述ばかりですが、その報道被害の実態を示すために、敢えて記す次第です。
書かれたことが事実としても決して恥ずかしいことではありませんが、他人には話さないプライベートなことという点では名誉に係りますし、そもそも事件解決には不必要な情報です。
こうして先行して逮捕された宮崎勤の相似形を描くように「女性を含む大人と付き合えないから幼女に向かう男」というレッテル貼りが重ねられていきました。
それが事実かでっち上げかもはやわかりません。
また私自身もそういうえげつない話に限って覚えている浅ましい読者の一人だったのです。
私が自らの非を悟ったのはそれから10年近くたって『さぽおと通信』というミニコミに触れてからでした。
それは菅家さんの冤罪を訴える支援者の人たちによる会の会報だったのです。笑顔の菅家さんの似顔絵が表紙だったと記憶しています。
見つけた場所は、当時東中野にあった住民図書館※1(住民運動の資料や市民運動の機関紙、個人誌などを保管・公開する私設図書館)です。
『さぽおと通信』HP
http://www.watv.ne.jp/~askgjkn/私が足利事件の捜査と報道の誤りを知ったのはこの時でした。もし私がこの住民図書館のボランティアスタッフでなく、自らの関心以外のミニコミを幅広く閲覧する機会に恵まれなかったとしたら、私は先日の菅家さんに関する報道を聞くまで、菅家さんを有罪と信じ込んでいたと思います。
そこでは捜査の矛盾点の中でも特にDNA鑑定の不正確さ(導入初期のPRのため強引に「一致」とした)、そして報道に事実と違う点があることも指摘されていました。
例えば菅家さんは多くの幼女もののアダルトビデオを持っていたと報道されましたが、実際は多くの映画ビデオの中にアダルトビデオは数える程で、そのいずれも成人女性出演のものだったそうです。
「ロリコン」の烙印そのものがでっちあげだったのです。
また菅家さんの自白についてですが、菅家さんのIQが「境界域」にあり、気が弱く従いやすい性格(そうでなくても捜査側はあらゆる圧力と心理操作を駆使して「自白」させるわけですが)だったことなど、同じくプライベートなことでも、捜査側に「不利」になる(「自白」が強要だったのではと疑わせる)情報は、一切報道されていなかったことも知りました。
捜査の矛盾点については下記のような労作があります。
しかし私が捜査と報道の嘘を知ったその日から10年近くがたってしまいました。
その会報を置いていた住民図書館も、杉並区に移転した後2002年に閉館。資料は埼玉大学動態資料センターに移管されました。今後は立教大学との共同利用が進んでいくとのことです※2。
この間に兜山事件など、いくつかの冤罪が晴れましたが、中には冤罪の疑いのまま容疑者とされた人が亡くなっていく事件も少なくありませんでした。容疑者が生きているうちに晴れる冤罪もまた長年の年月を要し、濡れ衣を着た以上人生そのものは取り戻せないことを知った私は諦めが当たり前になり、いつの間にか菅家さんの冤罪のことは頭の隅に置いたまま、関連ニュースの時にしか思い出さなくなっていました。
※1)住民図書館HP
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jumin/※2)ニュース「埼玉大学と立教大学が度成長期の市民運動資料を共同利用へ」
http://current.ndl.go.jp/node/12382今回の件で、マスコミは真相の究明どころか、「いかにも」な犯人像を作り上げて警察の共犯になったのではないですか?
そのマスコミが今度は自らが明らかにしたわけでもない(かつては妨害した)「正義」の側の立つ。
当時、菅家さんのプライバシー、いや人生そのものに土足で踏み込んだ当時の取材者・記者もそう仕向けたマスコミ各社も、今回のことを報道する前に警察と一緒に菅家さんに謝罪するべきではないでしょうか。
警察が関わると御免で済まなくなるってこと?
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